隣りの居間にいる私を静江が呼ぶ声がして、私は便器を取り外しに行った。
ティッシュで濡れた陰唇を拭くと、玉になった白い紙がこびり付いた。
年寄りのせいか尿の匂いはしなかった。
割目をペーパーでちょんちょんと拭くと、静江はくっくっと忍び笑いをしていた。
「こんな事までさせちゃつて、恥ずかしいわ、ご免ね」
私は心中を悟られまいとして、如何にも迷惑そうな顔をして見せ乍言った。
「誰かがしなくちゃなんねえことだ。早く良くなって呉よな」
この家の何処にも母との淫らな思い出が残されていた。
この居間で重なり合ったのも昨日の様に思えた。
静江の小水の介護で汗をかき、風呂場に行くと、風呂は今風に改造されていて、
蛇口を捻ると湯が出る式になり、浴槽もステンレスに変えられていて、
昔浴槽の中で番った時とは全く変わっていた。亡くなった父が静江と住むために
殆どの部分に手を入れて、新しく使い易い様に改造してあった。
湯に浸かりながら私は静江のひしゃげた陰唇と中のピンクの肉襞、ホッカリと暗い膣の
入口などが目について離れず、変態的な欲情にそそのかされて陰茎は何時しか
固く成っていた。湯を出るとタオルを何本も湯に浸し絞って、静江の所に行き、身体を
拭いてやった。毎日が暑く、健康な人もぐったりと疲れる夏だった。
「ああ、気持がいいわ。あっ、そんなに乱暴にしないで、痛いっ、痛いよ」
彼女は私が親切ですることにも、一々注文をつける我侭さは昔と変わっていなかった。
首から腕、腋の下から胸、腹と拭き、下腹部の恥丘、腿の内側へと拭いて行くと
静江を病人の年寄りとは思えなくなっていた。
「ありがとう。きもちがいいわ・・・」
自由になる方の膝を広げで尻の穴まで見せた。薄茶色に変色した割目の周りから、
若い女と変わらない性臭が私の鼻を刺激した。
湯上りでパンツ一枚の股間は怒張して、静江の目にも明らかに見えていた筈だった。
「ばあさんに成っても、ここだけは年を取らねぇな」
指先にタオルを被せて割目の中まで拭いてやった。私は意志とは別の行動をしていた。
**
「恥ずかしいこと言うわね。もうだめよ。お父さんとしてる処を、あなたはじっと見てたわね。
彼は気が付かなかったらしいけど。あんな恥ずかしいとこ見られたの、あなただけよ」
「へええ。四十年も前の事を良く覚えてたじゃねえか。俺は何時も思い出して興奮
していたよ。ガキにはチョツト刺激が強すぎたな」
静江は立てていた膝を外側に倒した。
「あの後、何度も誘惑したけど、あなたは少しも動じなかった見たいね」
「ああ、まだ千擦りも知らねえ年だったもんな。大人の事は分からなかったよ」
私の指を静江が押さえて、動かした。
「あらっ、そうでも無かったんじゃない。もう忘れちゃったの。
貞子さんと盛んに遣ってたんじゃなかった?」
「なにを?」
静江は膝を閉じて私の手を腿の間に挟んだ。
「とぼけちゃつて。あたしは何度も見た事あるんだから」
指先に割目の熱い湿り気を感じていた。
「可哀相だから、お父さんには言わなかったけれどね。お父さんが帰らないので、
あなたの家を観に行った時、あなたとお母さんが昼間から遣っているのを見たのよ。
何時かあなたを私のものにするって、心に決めたのよ。若かったわね、あたしも・・・」
誰かが門の鉄の扉を開ける音がしたので、彼女の寝間着の前を合わせて、
風呂場にタオルを持って引っ込んだ。
掛かり付けの医師が往診に来てくれた。
「脚の怪我は大した事は無いですよ。レントゲンの所見でも骨折は無いし、
少し筋を痛めた程度だから、二日もすれば、動ける様になりますよ」
静江は大げさに痛がって、私を呼び寄せる口実にしたのではないかと思い当たった。
「老人は甘やかすときりが無いから、
後二日もしたら、トイレも自分でさせた方が良いですよ。
彼女はそんなに年を取ってはいないからね。身体はまだ六十代ですよ」
医師は軽く言って帰っていった。
私は静江を入院させて、今日中に帰宅する積りでいたので、拍子抜けしてしまった。
妻に電話して入院出来ず困っている経過を話して、後二、三日会社を休むと言った。
「あんたも不幸な人だね。ご近所の手前もあるから、大変だけど頼むね」
妻はさばさばした口調で電話を切った。
- 2014/09/05(金) 02:15:22|
- 二人の女
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