この話は私が仕事現役だった頃、四国や九州を飛び回って居た時に
作った作詞を基に改めて小説にしたものです。◇好奇の目から逃れて
私は毎月二十四日かがやって来ると、葛城香織という女性の事を思い出します。
其の日は今から七年前に病気で天国に召された彼女の月命日だからです。
私が彼女と肉体関係をもっていたのは五十代の中頃ですから、
もう十五年以上も前になるでしようか。
しかし、私には何故か、つい昨日の事の様に思えるのです。
当時、私は大手化成品メーカーの横浜工場に勤める技術社員でした。
神戸市三ノ宮にある中国支社に技術指導員として単身赴任をしており、
中国、四国、九州の道路や鉄道のトンネル工事現場での、発泡剤の注入
作業の技術指導をしていたのです。
彼女は四十五歳だったでしょうか。勿論、れっきとした人妻でしたし、
私にも家庭がありましたから、私たちの関係は当然、
世間で許されるものではありませんでした。
香織さんは私共の営業所から二百mほど離れた所に住んでおりました。
ご亭主は背の高い、いかつい顔の人で、贈答品の店を出して居られました。
私の仕事は技術指導員とは言うものの、工事現場の大手ゼネコン幹部への
付け届けも仕事の内に入っていたのです。彼女の店に度々顔を出している内に
何時しか男女の関係にまで進んでしまったのですが、
世間の眼を避けて逢うのに、かなり苦労をいたしました。
大概は私が昼間に営業所を抜け出して、隣り町の旅館でこっそりと逢い、
一時間ばかり過ごして別れるのが常でした。
肌を絡ませ合っている時が短い分だけ、求め合う情熱は激しかったと思います。
♪瀬戸内慕情
作詞 万屋 太郎
作曲 岡 ちさと
編曲 筧 哲郎
歌唱 中川 芳郎
歌が聞けます-1-
連れて行ってと 縋って泣いた
君の後れ毛 手でほぐす
最後の夜に
燃えた姿が 目に浮かぶ
未練波止場は 夜雨に濡れて
一人船路の* 瀬戸内慕情
-2-
遠く神戸の 明かりが揺れる
君を残して 船は行く
無情な汽笛
愛の絆を 引き離す
瀬戸の渦潮 思いが巡り
一人未練の* 瀬戸内慕情
-3-
島の灯台 キラリと光る
君の面影 又浮かぶ
窓打つ雨が
雪に変わって 風に舞う
伊予の松山 夜明けも遅い
一人降り立つ* 瀬戸内慕情
*は繰り返し
たった一度だけ、長い時間を二人きりで過ごした事がありました。
私が四国の松山市内に宿を取り、二泊三日で、三ヶ所の現場を指導する事になった時です。
彼女もついて行きたいと言い出したのです。
ご亭主には大阪の女友だちの所に遊びに行く事にする。実際に誘いの手紙が来ているから
疑われない。と言うから、私も承知したのでありました。
私達は別々のフェリーに乗って、四国の松山に向かいました。
そして、夕方に松山の港に着いてからも、私達は用心して一緒に並んでは歩きませんでした。
顔を合わせたのは、宿に到着して、部屋で二人きりになってからです。
「信じられないわ、あなたと二晩も一緒に過ごせるなんて・・・」
彼女は心から嬉しそうでした。私は彼女との初めての旅行に心を浮き立たせ、
「仕事は明日、一日で急いで済ますからね。
今からブラブラ、夜のそぞろ歩きと洒落てみようか」
と、早速バリッと糊の利いた浴衣に着換えながら、彼女に声をかけました。
すると彼女は表情さえ変えて首を横に振り、
「ダメよ、此処は道後温泉にも近いし、関西の人が大勢来る観光地よ。
万が一、誰か知った人に出会ったらどうするのよ」
と、強い口調で言うでは有りませんか。しかし、すぐに表情を和らげると私の膝にしがみ付き、
「折角の夜なんだもの。誰にも邪魔されずに二人きりでいたいわ」
と、濡れた眼で見詰める彼女。
私はその視線に、たちまち欲望が膨れ上がるのを覚えました。
「そうだね」
彼女が続けます。
「ねぇ、一緒にお風呂に入りましょうよ、お背中、流して上げるわ」
勿論、それまでは短い時間の慌しい逢う瀬でしたから、
一度として一緒に風呂に入った事なんかありませんでした。
その旅館は季節外れか余り泊り客も無い様子。
家族風呂も時間を気にせずに入って好いと言うことでした。
私は早くも陰茎を熱くたぎらせ、彼女と風呂に入ったのでありました。
風呂場での彼女の裸身は、とても新鮮な気が致しました。
ボーッと見とれていたら、
「うふふ、何を見ていらっしゃるのよ。イヤらしい眼だわ。さあ、お座りに成って・・・」
と、私を無理矢理座らせ、石鹸を泡立てたタオルでゴシゴシと背中を洗い始めます。
「ああ、いい気持だ。香織さんに洗って貰うと、疲れも吹っ飛ぶね」
私はお世辞ではなくそう言って、うっとりと眼をつむったのでした。
そうしたら、背中に湯を流してくれると、今度はいきなり股間にタオルを押し付けて来ました。
「あっ!」
と私は思わず声を漏らしましたが、彼女は艶っぽく淫蕩に微笑みかけながら、
たちまち泡を立てて、陰茎を揉むように洗い始めたのです。
そして、タオルを置いて掌に陰茎を握り締めると、
「うふっ、とても硬くなってるのね」と、尚更しごく指先に力を込めました。
時折、片膝を立てた彼女の両腿が開いて、赤い肉の亀裂が見えました。
それが、とてもエロティックでした。
私の肉棒は更に硬く反り返ります。すると彼女はバシャッと洗面器の湯を陰茎にかけて、
石鹸を洗い流しました。そうしてから、間髪を置かずに上半身を倒すと、
亀頭をパクッと咥えるではありませんか。
「ううっ・・・!」
ズキンと快楽が体の中心部を脳天に向けて駆け上がった様なきがしました。
私は思わずピクッと仰け反っていたのです。
「おしゃぶりして、もっと綺麗にしてあげるわ」
と、彼女がまるで少女の様に悪戯っぽい表情で私を上目遣いに見上げ、
舌先でチロチロと亀頭を舐め、突っつき始めました。
時々歯を立てたりと、、それ程上手な尺八ではありませんが、
懸命に私を喜ばせようとしてくれて居るのだけはよく分かっていますから、
私は一度として、もっと上手にとか、歯を立てない様にとか、文句を言った事はありません。
「貴男のこれを、私はどうして、こんなに好きになったのかしら」
と、彼女が呟くように言って、鈴口に尖らせた舌先をこじ入れる様にしました。
「ううッ、香織さん・・・」
私はたまらずに、ピクピクと腰を震わせていたのでありました。
彼女が私のモノを深く咥えて、強く吸い立てて来ました。
ねっとりと唾液が亀頭部に絡みついて来る様です。
私は彼女のまろやかな尻の方に手を伸ばし、割れ目に指を突っ込みました。
そうしたら彼女は、「うううッ・・・」と呻きましたが、尚更肉茎にしゃぶりつき、
強く吸い立てるではありませんか。
- 2014/12/10(水) 15:59:18|
- 忘れえぬ人
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