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別冊・詩と小説で描く「愛の世界」

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女同士の淫楽。其の二

◇夫婦生活の悩み◇
女同士の淫楽2-1
泉さんは私のその言葉を、驚くでもなく、頷くでもなく、真顔で、ただじっと聞いています。
私は、声をふるわせてつづけました。
「・・・私、夫とはお見合いで結婚した。もう十年になるわ。
 この十年、夫はずっうっと仕事が忙しくて、家にいない時が多くて・・・でも、
 セックスの回数とかそう言うのには、全然不満は感じなかったわ。
 自分からセックスしたいとか思う事、私にはほとんどないから・・・。
 夫がしたがるときが、するときって感じて・・・それでいいと思ってた。ただ・・・」
「ただ?」
「感じないのが、辛いの・・・」
「全然、感じないの?」
「てわけじゃないんだけど・・・。あんまり感じないの。薄いの。少ないの。
 “イク”っていう感じに、一度もなったことがないの・・・」

いったん口を開くと、言葉は恥じらいに勝って溢れ出てきました。
その言葉を、泉さんは真正面から受け止めてくれました。
「“薄い”とか“少ない”とかって、もっと具体的に言うと、どんな感じなの?」
「どう言ったら良いのかしら・・・ファックすると、感じることは感じるの。
 乳首や、それから、あの、クリトリスとかが、キユンキユンと硬くなってくるような、
 そういう快感は、あるの。でも、それだけなの。どんなに夫の性器を素直に受け入れて、
 どんなに性器に神経を集中させて、どんなに激しくファックしても、それだけなの。
 それ以上の快感が手に入らないの・・・。そのことで、もう何年も、私、悩んでて・・・」
「ご主人のほかに、何人と経験があるの?」
「えっ・・・?」
「ほかの男性とも、勿論経験あるんでしょ?」
「・・・」
「ないの?」
私は、なにか恥ずかしい告白をするような気分で頷きました。

「ご主人一人しか、経験ないの?」
「ええ・・・」
「そうなの。じゃあ、自分でしたことは、ある?」
「自分で・・・?」
「オナニーは」
「ないわ。触った事はあるけど・・・指で・・・」
「そう。オナニーも、したことないの」
泉さんはそう言いながら、あらためて私の全身を舐めるように見ました。


女同士の淫楽2-2
私はその視線にモジモジしながら、泉さんのアドバイスを待ちました。
夫以外の男性との経験やオナニーのことを訊くくらいですから、泉さんには何か私に
与えてくれるべきアドバイスがあるのだと、私は恐々ながら期待していました。
が、泉さんは中々次の言葉を口にせず、ただ私の事をじっと見つめ続けています。

私がその無言の視線に耐え切れなくなり、泉さんの視線から逃れようと、
カラダを動かしかけたそのときです。
唐突に、泉さんが私の方へ身を寄せてきました。強引な勢いで。

豊満な彼女の肉体の圧力に押されて、私はカーペットの上にカラダを傾けました。
泉さんの呼吸がひどく荒くなっている事に、そのとき気が付きました。
つられるように、私の呼吸も弾みはじめました。

得体の知れない昂ぶりが、私の肉体に・・・下半身の奥の方に、湧いてきつつありました。
「泉さん・・・な、なにする気・・・?」
「いいもの、見せてあげる」
「えっ・・・?」
「たぶん、あなたの役に立つビデオだわ。
 セックスしてもあんまり感じない、まだ未熟なあなたの」

泉さんは薄い笑みとともにそう言って、素早くコレクションの一本のビデオをセットしました。
「な、なんのビデオ?それ・・・」
「女のビデオよ」
「女の・・・?男は、出ないの?」
「出るわ。でも、女のビデオよ、これは」
「・・・」
「意味は、じきに判るわ」
テレビ画面に、ビデオの映像が流れ始めました。

画面を見るように、泉さんは目で私を促しました。泉さんのその目は、
少し血走っているよう様に見えました。
私は、是から何が始まるのか判らず、しかし、肉体のどこかに性的な期待感が
妖しく疼くのを感じながら、ビデオの映像へ目を向けました。
それはいきなりベッドシーンからはじまりました。
  1. 2012/10/19(金) 06:57:50|
  2. 同性愛(レズ)
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