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別冊・詩と小説で描く「愛の世界」

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脛に傷持つ女。(独り寝の淋しさに負けた私)其の一

◇運命的な恋愛
画像 605
いまを遡る事、もう50年も前の話、今と成ってはもうすっかり昔の話です。
来年には古希を迎える私ですが、当時はまだまだ花も恥らう二十歳の乙女でした。

其の頃は言うまでもなく、
まだ現在ほど社会に女性が進出している時代ではありませんでした。
そんな時代において、私は丸ビルの中にある商社OGとして働いていたのです。
当時の女性としては、皆が憧れる職場で最先端の職業でした。

私は、
父は経済学部の大学教授、母が華道の師範という固い家庭の中で育てられました。
ミッション系の女子高、短大を経て、父のコネでその商社に入社したのです。

(花のオフィスガールとして、バリバリ働くわよ!)
私は、大張り切りで仕事に打ち込みました。
仕事とは言っても、お茶汲みやら書類を届けたりやらの雑用がほとんどでしたが、
そのうち重要な仕事に恵まれる機会もあるだろう・・・。
今で言うところのキャリァウーマン志向の希望を抱いていたのです。

しかし結局、私はキャリァウーマンにはなれませんでした。なぜなら、
(隣の課の橋本さんって、ステキ!ああいう男性が理想だわ)
入社して半年も経たないうちに、運命的な恋愛にのめり込んでしまったからです。
相手は、三つ年上の先輩だった橋本啓一(仮名)でした。

橋本は入社一年目にして、成績がトップクラスの営業マンでした。
社内でも、やり手の新人で通っていました。
とくに素晴らしい二枚目という訳ではなかったのですが、
(あの爽やかで、男らしい感じがとっても魅力的!
 ああ、橋本さんとお付き合いできたら、私、
 東京タワーの上から飛び降りたって構わないのに・・・)

寝ても覚めても想うは橋本のことばかり、私は文字どおり恋の病に
取り憑かれてしまったのです。そんな私を神は見放しはしませんでした。


画像 544
本当に、私は幸運でした。ある日私は社内で困った顔の橋本に出くわしました。
「どうなさったんですか、橋本さん?」
私は勇気を振り絞って、橋本に声を掛けました。と、彼は、
「参ったよ。これから、大事なお客さんに会わなくちゃならないって言うのに、
 背広のボタンが取れちまったんだ。みっともなくて出掛けられやしないよ」

「なーんだ、そんなこと!なら、私がすぐに付けて差し上げますわ」
私はすぐに机から裁縫セットを持ってくると、
その場で橋本の背広のボタン付けをして上げました。
いまから考えると何と単純なと想うのですが、その時橋本は大感激でした。

「助かったよ、ありがとう。こんど、この埋め合わせをするからね」
これが、私が橋本と親しくなるきっかけでした。
そのあと、橋本は私を食事に誘ってくれました。
以来、私達は恋人同士のお付き合いをするようになったのです。

忘れもしない、私達が初めて結ばれたのは付き合いはじめて三ヶ月が
経った時の事でした。厳格な家庭、ミッション系の学校で育った私が結婚
前に男性に肉体を許す事は、それは一大事だったのです。
でも、私は橋本が好きで好きで堪りませんでした。

私は両親といっしょに暮らしていましたが、花田は原宿にあるアパートで
一人暮らしをしていました。
ある夜、会社帰りに食事をしたあと、
「ねぇ、幸恵さん。よかったら、ウチへ寄っていかないか?」
私は、橋本に初めて自宅にさそわれたのです。心臓が、飛び跳ねました。

(お、男の方が一人で暮らしている部屋へ行くって言う事は・・・)
オクテの私でしたが、
二十歳を過ぎでいれば、それが意味する事くらい判っていました。
二人きりになったら、どうなるか・・・それを思うと、
(断るべきなのよね。軽い女だと思われてしまうわ)

しかし、大好きな人の部屋を訪ねてみたい、二人りきりになりたい、
そんな欲望を私はどうしても抑えることが出来ませんでした。
私は、頷いていました。
「ぜひ、お邪魔させて。コーヒーでもご馳走になりたいわ」

心臓が、口から飛び出してしまいそうでした。
この二十年間、私はキスはおろか、男性と手を握ったことすらなかったのです。
そんなウブな私でしたから、このときは本当に清水の舞台から飛び降りるような
心地がしたものでした。  
  1. 2012/08/29(水) 14:19:46|
  2. 人妻の性欲
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